① 規定審議会の改定にみられるRIの方向性
今回の規定審議会は、「ロータリーの潮目が変わった。」と言われる程、大幅な変更がありました。RIの方向性を考えるうえで、重要な変更点について、確認していきます。
まず、「クラブの目的」が新たに新設されました。それによると
クラブの目的は「ロータリーの目的」の達成を目指し、五大奉仕部門に基づいて成果あふれる奉仕プロジェクトを実施し、会員増強を通じてロータリーの発展に寄与し、ロータリー財団を支援し、クラブレベルを超えたリーダーを育成することである。
とあります。すなわち、奉仕プロジェクトの実施、会員増強、ロータリー財団の支援、リーダーの育成がクラブの目的であると明記されることになりました。それに伴って、委員会規定がなされ、クラブは次の委員会を有すべきである、として、クラブ管理運営、会員増強、公共イメージ、ロータリー財団、奉仕プロジェクトの委員会が指定されました。
地区では、これに伴い、次年度の委員会組織の変更を検討しています。ただし、「すべきである」という表現は、英文ではshouldであり、これは義務ではなく任意であり,奨励するということですので、クラブはこれを踏まえて委員会組織を検討していただければよいかと思います。
また、入会金が廃止(クラブ細則によって徴収可能)されました。これは新クラブの設立や若い人々の入会を促進させるものであります。前年度、設立されました神戸モーニングクラブや西宮イブニングクラブは、30・40代が中心で、入会金が10,000円、年会費100,000円、食事なし、メークアップが500円と、従来型のクラブとは大きく異なります。ロータリーを一種のステータスとして捉えるのではなく、会費を抑えて入会を促進する。今後はこういう形でのクラブの設立が主流になるのではないかと思われます。日本のロータリーの課題である硬直化、高齢化、高コスト化に対して、柔軟性、多様性、経済性がこれからのキーワードになってきます。その意味ではロータリーは益々2極化に向かうと言えます。
② RIと日本のロータリー
RIと日本のロータリークラブとの乖離を懸念する声があります。今回の改定で例会の頻度、形式についても柔軟化が図られました。伝統的に例会を重んじる日本のロータリーにとって、職業奉仕の理念が薄れ、RI主導のボランティア活動が主流となることへの懸念でもありますが、ロータリーは人道的奉仕団体としての位置づけがより顕著になってきました。そして、その資金源としてのロータリー財団の比重が拡大してきました。この方向性は、今後もより高まると思えます。一方、他団体との差別化を図るために、奉仕と共に事業や専門職業、地域社会のリーダーとしてのロータリーの位置づけも今後は見直されてくるのではないでしょうか。
ところで、日本のロータリーはRIからも高く評価されていますが、会員数の減少により、その地位が弱体化されることが懸念されています。全世界で34のゾーンがあり、その中から17名のRI理事が選出されます。現在、日本は3つのゾーンがあり、1名の理事と年によっては2名の理事を輩出しています。複数の理事を有するのは他にアメリカのみであります。1ゾーンの基準は35,000人とされており、現在の日本の会員数では、アジア地区での韓国、台湾の躍進の下、次のゾーン改定では2つになる可能性があります。それはとりもなおさず、RIでの発言権の低下につながっていきます。
③ これからの地区・クラブ
従来から、ロータリーは単年度制といわれてきましたが、これからは単年度制と継続性の両輪が課題になってきます。例えば、補助金プロジェクトについては、計画年度、実施年度という2年にわたる取り組みが必要になります。そのための戦略計画が重要になってきます。地区では、戦略計画委員会が前年度はグループの再編、本年度は青少年交換における危機管理と財政基盤に取り組んでいます。いずれも未来につながるロータリークラブの設計であります。従来、ガバナー・エレクト・ノミニーが独立した存在であったのを、本年度の室津ガバナーは連携を重視しておられます。それによって地区の方向性を明確にしていくという考えであります。
ロータリーを取り巻く環境には厳しいものがあります。その中でも、ロータリーの存在に大いなる意味を感じている我々は、おおらかにその危機を乗り越えていきましょう。
東播第2グループガバナー補佐 矢野 宗司
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